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翌朝、優しく包まれるように温かい人肌を感じ、くるみはゆっくりと目を開けた。広い逞しい胸板が目の前にあり、力強い太い腕に頭を支えられていた。背中にもう片方の太い腕が回され、くるみは長谷川の腕の中にいた。
顔を上に向けると、スヤスヤとまだ眠っている長谷川。初めて見る寝顔が少し微笑んでいて幸せそうに見える。思わずくるみも微笑んで、長谷川の胸にすり寄った。
(すごく幸せな朝……こんなにも柔らかな朝は初めて…)
くるみは目を閉じて長谷川の体温と鼓動を感じていると、背中に回った腕がぎゅっとくるみを抱き寄せた。くるみは長谷川の顔を見上げる。すると目を覚ました長谷川が微笑んで言う。
「おはよ、くるみ」
優しく額にキスをする。
「おはよ、光広」
「今、何時?」
くるみは部屋の壁に掛けられた時計を見て答える。
「6時40分だよ」
「まだそんな時間か…」
「ふふっ、眠い?」
「うーん。眠い…」
「ふふっ…」
昨夜、くるみと長谷川は本当の『初夜』を迎え、我慢をしていた長谷川は一度ではおさまらず、二度くるみを抱いた。長谷川はそのまま三度目を始めようとしたが、くるみがそれを止め、長谷川は仕方なくシャワーで汗を流し、大人しく眠りについたのだ。
「光広はいつも何時に起きてるの? 私が仕事に出る時に、部屋から出て来るでしょ?」
「ん…あぁ、起きるのは8時15分。くるみは20分ぐらいに出るよな」
「うん。朝食は食べないから、7時50分に起きて、用意するの」
「じゃ、もう少し寝ていられるな」
「うんっ…」
くるみは長谷川の胸に抱き着く。ぎゅっと長谷川の腕がくるみを抱き締め、そのままくるみの上に覆い被さった。
「くるみ、今日は俺が車で送って行くから、今から…」
長谷川がくるみにキスをして舌を絡める。耳や首筋にキスをして、2人は朝から抱き合った。
朝から抱き合い2人は汗を流す為、一緒にシャワーを浴びる。浴室から出て髪を乾かし、リビングに戻って時計を見ると8時を過ぎていた。
「光広、家を出るのは何時?」
「8時40分。車で10分だからな」
「そっか。じゃ、まだゆっくり用意出来るね」
「うん。あっ、コーヒー淹れるけど、くるみも飲む?」
「うんっ!」
「じゃ、くるみは用意してていいよ」
くるみは自分の部屋に戻り化粧や着替えをして、鞄を持ちリビングに戻る。長谷川は出来上がったコーヒーをカップに入れ、ローテーブルに置くとくるみと一緒にひとくち飲んで、仕事に行く用意を始めた。
くるみはソファーで長谷川が淹れてくれた、愛情入りの美味しいコーヒーを飲みながら、長谷川の用意が出来るのを待つ。
部屋から出て来た長谷川はいつもよりカッコよく見えて、くるみは少し照れた。長谷川に抱かれた事を思い出し、急に恥ずかしくなったからだった。すると長谷川はくるみの様子に気づいたのか、ソファーに座るくるみの後ろに体を割り込ませ、くるみを後ろから抱き締めるように座った。
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