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新婚生活
「ダーメ、じっとして」
「だ、だって…」
少し大きめの浴槽でぬるめのお湯に浸かり、くるみは長谷川の胸に背中をもたれさせていた。くるみを背後から抱き締めるように、長谷川の片手が腰から腹に回され、もう片方の手は内腿を撫で、つけ根の方へ上がって来る。
「光広…」
お湯に浸かり体は温められ、キスや胸に触れられてすでにくるみの体は火照っていた。恥ずかしさと快感で、くるみは少し困った顔を横に向け長谷川を見ると、長谷川の顔が近づきキスをした。
「火照った顔、可愛い過ぎ…」
そう言って、舌を絡ませながら片手で胸を揉み、もう片方の手でくるみの秘部をなぞる。スルリと指を滑り込ませ、中を擦った。
浴槽の中で跳ねるくるみの体、揺らぐ浴槽のお湯。くるみの吐息が浴室に響き、チャプチャプと水音がたっていた。
くるみと長谷川が『初夜』を迎えてから1ヶ月。先にくるみが家に帰り、夕食の準備をしている時に長谷川が帰って来る。キッチンに立っているくるみの背後から長谷川が抱き締めて、ただいまとおかえりのキスをするのが日課になった。
夕食を食べた後は2人で後片づけをして、長谷川に腕を引かれて2人でお風呂に入るのだ。お互いに髪や体を洗い合って、長谷川の胸にもたれるように2人で浴槽に入るのだが…。
もう1ヶ月になるが、毎回くるみはのぼせそうなほど体を火照らせ、長谷川にトロトロに愛撫をされ、可愛がられていた。お風呂から上がり体を拭いて髪を乾かすと、くるみを長谷川がお姫様抱っこをしてベッドへ運ぶ。そしてそのまま抱かれる。
だから今日も。
「くるみ、上がってベッド行くぞ」
浴室から出て体を拭き、髪を乾かして裸のままベッドへ運ばれ、くるみは長谷川にたっぷりと愛情を注がれた。
毎夜、お風呂の後に長谷川に抱かれる為、リビングでコーヒーを飲む習慣はなくなった。だが力尽きベッドに横になったくるみに、長谷川がコーヒーを入れて寝室に持って来るようになり、今ではベッドの上でヘッドボードに並んでもたれ、2人でコーヒーを飲むようになった。
「美味し…」
「あっ、もうそろそろコーヒー豆を買ってこないとな…」
「じゃ、私帰りに買って来るね」
「うん、頼む」
その時、ナイトテーブルに置いた長谷川の携帯が鳴った。
「誰だ? こんな時間に…」
壁の時計はもう夜の10時を回っている。長谷川がカップを置いて携帯を取ると、くるみの顔を見てためらうように電話に出た。くるみは長谷川の顔を見つめたまま、静かに見守る。
「はい、もしもし」
長谷川が電話に出てくるみの肩を抱き寄せると、携帯をスピーカーに切り替えた。
《もしもし、光広?》
聞こえて来たのは長谷川の母、和香の声だった。
「何、こんな時間に?」
《あぁ、ごめんなさい。今、やっと手が空いたから》
「今、忙しいの?」
《そうなのよ。おかげ様で、連日客室は満室でね、来年の1月末までもう満室なの。それで、今やっと落ち着いたところなのよ》
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