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躊躇する僕を尻目に、それは段々と腹部を膨らまして行き、黒く染まっていくのが分かりました。
事を終えたのでしょう、嘴を引き抜くと、ゆるやかにそれは飛び立ちました。
その瞬間を僕は見逃しませんでした。
両手のひらを眼前に構えると、それが中央に来る様に構えます。
それは、自重を増しているせいか飛行速度も緩慢で、容易く照準に捉えました。
手と手を叩きつける様に合わせました。
パアンッ!!と派手な音。
丁度かつて教団で毎時行っていた合掌のポーズ。
ゆっくりと開いた手は
なんとも言えない紅色の朱と
虫の遺骸で染まったのです。
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