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「…どうしたの?」
彼女が音に気付き、目覚めたようです。
「…ああ、蚊が出た?ゴメンね安宿しか見つけられなくて。刺されちゃった?」
薄い眉と眼尻を細めると、彼女は申し訳無さそうに微笑いました。
「…蚊って言うんですね。初めて見ました。確か伝染病を運ぶんじゃ無かったですか?本で読みました。夜が明けたら医者を探しましょう」
「外国なんかでは、そうだけど…大丈夫よ。本当、世間知らずねえ」
「…すみません」
「眠れない?煎餅布団だからかな。そうよね救世主様じゃあ、ふかふかのベッドが当たり前だものね」
「さま、はやめて下さい。勝手に父から祭り上げられただけです」
「そうね、失礼しました」
「いえ」
「ねえ?」
「なんでしょう」
「逃げ出した事…後悔してる?ゴメンね。私がそそのかしたみたいで」
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