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「あなた、シマよね?」  唐突なその問いに、俺は近くのコンビニで買った好物の鯖味噌煮弁当を食べていた手を止める。  晴れ渡るビジネス街のど真ん中にある昼の公園は、休憩中の会社員や散歩に来ている母娘、ただ鳩をぼぉっと眺めているじいさんなどがそれぞれの時間を思い思いに過ごしている。  俺も、その中のひとりのはずだった。 「あなたに訊いてるの。ねぇ、シマでしょ?」  俺は、わざと大きな溜息を吐いて、箸を面倒臭そうに置いて見せた。 「……なんです? いきなり」  小声で言えば、満足そうな声が返ってくる。 「うん、やっぱりそうだわ」  少女の声だ。 「あなたは、シマだ」
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