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エリーは翌朝、わざわざ新横浜駅近くの交番に出頭した。
彼の供述と物的な証拠などから、殺人を依頼した団体が特定され、数名が逮捕された。
エリーとサンライズの中華街での追いかけっこは、実はずっと中華系の組織から監視されていたのだが、サンライズはおろかMIROCのほとんどのメンバーがそれを知ることはなかった。
とある組織のナンバー2である老婆は、ずいぶん後になってからだが親類の集まりの時に、親戚の陳にこう語っていた。
自分の妹の孫にあたる陳は、MIROC東日本支部という訳の分からない防犯機関で働いており、彼女の最もお気に入りの小僧だった。
「阿文、もっと肉を食べないと太らないよ」
そう、皺だらけの手で自分の膝もとに招きながら、遠慮しがちな彼の手を小柄な割に強い力でぐいと引き寄せ、耳うちのように小声で話してくれる。
「アタシが助けに行った時には、乾物屋の頼んだ殺し屋は帰っていったよ。オマエの会社の子だったっけ、鼻血が出た子は。あの子は運が良かった」
陳は控えめに目を伏せ、
「ホントですね」
とだけ応えた。
エリーが逮捕されてから数ヶ月後。
知らない女性から、サンライズの元に手紙が届いた。
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