終 愛しの恵莉

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 春日が、 「カズコちゃんて人から、オ、テ、ガ、ミっ」  とやや大きいピンクの封筒をデスクまで持ってきた。  中には、写真と手紙が入っていた。  以前エリーの所で会ったヘルパーの女性だった。 ―― 恵莉ちゃんのお父様のことはとても信じられず、残念です。恵莉ちゃんをすごくかわいがっていらっしゃいましたし、私たちにはとても親切で、良い方でした。  罪をつぐなうことを、生きていられる限りこれからずっと考えていきたいと仰ったとのこと。その言葉を信じたいです。  恵莉ちゃんには以前から、私の知合いがやっている施設をお勧めしていたのですが、こういう形で入所されるとは思いませんでした。  それでも、彼女はここを気に入ってくれたようで安心しております。  富士山と海と段々になったみかん畑が見えて、恵莉ちゃんは窓辺で景色を眺めるのがすごく好きなのだとか。    写真には、恵莉と施設のスタッフが写っていた。明るくて、素敵な所のようだった。  施設の担当者からの手紙もあった。 ―― 恵莉ちゃんの笑顔には、いつもスタッフ一同いやされています。いっしょうけんめい毎日がんばろうというエネルギーで、逆にみんなを励ましてくれるんですよ。  リハビリも少しずつ、進んでいます。  字も、少しですが書けるようになりました。おじさんにお手紙だそうです。 「たんじょひに うさき くたさいね」 (約束したんですか?いつくれるのか、怒ってましたよ!(笑))  女子からのおねだりには弱い。  サンライズはまた通りかかった春日に聞いてみた。 「ねえハルさん、ウサギを経費で買ってくんない?」 「経費からウサギを出せ、ってか?」  春日は、ははっと笑った。 「オレら、一体何なんだよ、マジシャンか?」 「ある意味ね」  そう言って、サンライズは大きくのびをした。
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