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「……プログラミングのミスで暴走するなんて……そんなの人間側のミスでしょ。
どうしてアンドロイドが人間のミスの犠牲にならなきゃいけないの?
そもそもミスに気付くまでに十年って、どういうこと? 研究所ってどうなってるの?」
唾を吐くように言葉を吐いた。
次から次へと、言葉が飛び出してくる。
「何のための研究所なのよ! 人間とアンドロイドの共存だとか謳ってるくせに!
困ったら結局、捨てるんでしょ!」
数年前からアンドロイドの研究所に勤める朽木くんに、十数年前に作られたアンドロイドの知能チップのプログラミングミスを責めるのは間違っている。
わかっているけれど気持ちのやり場がない。
朽木くんはただじっと構え、私を見ていた。
「……ごめん、朽木くんが悪いわけじゃないのに」
「咲良と伊織さんが、ただのマスターとアンドロイドの関係じゃないことは俺もわかってる。
だから咲良がこうなるのも無理はないし、研究所に責任があることは確かだよ」
アンドロイドの研究と開発という自分の仕事に誇りを持ち、子ども頃からアンドロイドを愛している朽木くん。
こうして機密情報を私に伝えることにだって、アンドロイドがスクラップされることにだって、葛藤があるはずだ。
それなのに私は声を荒げ、朽木くんを責めてしまった。
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