甘い蜜

俺と彼女の関係

これも気に食わない行動だ。

初めて一緒に外食をしたときから、絶対に俺に奢られようとせずに割り勘を貫いている。

どんだけ無理やり俺が払ったとしても、翌日にはきっちり半分の金が会社のデスクの上に置かれている。

不毛なやり取りだと分かっているので、レジカウンターに置かれた半額を回収して代わりに万札を置く。

それからお会計の為に店員呼び出しボタンを押す。

俺の小さな見栄だけど、今からくる店員にすみれとの関係を何でも無いとは思われたくなかった。

支払いを終えて店を出ると、いつも通りすみれは外で待っている。

この後ホテルに行くことを同意してくれていると判断して、いつも通り無言ですみれの手を取り、会社の近くのいつものホテルに向かう。

お互い無言で足早にホテルに向かう。

最初すみれを運びこんだとき、まさか体を重ねる関係にはなると思っていなくて親父が経営しているホテルに連れ込んだ。

その後、何度もすみれと寝るためにこのホテルに足を運んでいるが、親父からは特に詮索が入っていない。

多くの客がいるから俺が使っているなんて思いもしないだろうし、調べもしないだろうと安心して毎回使っている。