認めたくない事実

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「先に出るね。これ半分置いておくね」 この部屋の宿泊料金の半額を財布から抜き取り、サイドテーブルの上に置くすみれの姿に俺の心臓がきりきりと締めあげられる。 「・・・・なぁ、このまま泊まっていかね?」 情けないとも思いつつ、このまま置いていかれるのは嫌だ。 結局いつもすみれが出た後、俺も直ぐ部屋を出ていた。 「明日会社あるのに二人共同じ服で出社するもはマズイでしょ」 「何がマズイの?しかも誰も俺達の服装なんかに興味ないでしょ」 「女性社員は目ざといから直ぐ気付くの。先に出るから。また明日会社で。今日の案件について朝一にミーティングで」 そう言ってすみれは部屋から出て行ってしまった。 いつもそうだ。 俺が呼び止めても絶対に宿泊せず、そのまま帰ってしまう。 おまけにいつも仕事の話をして出て行くから、最初は男女でこのホテルの部屋に入ったはずなのに、最後はいつも同僚で出て行く。 キスもさせてくれないし、行為後はいつも淡泊になるすみれの本心が分からない。 サイドテーブルに置かれた宿泊費用の半額を財布にしまって、俺もシャワー室へ向かう。
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