認めたくない事実

7/17
前へ
/282ページ
次へ
確かにすみれの言う通り、いつも通りで何もおかしな態度ではなかった。 ただ、俺の期待する態度じゃなかっただけだ。 「スカーフで隠すことないだろ」 俺が昨日付けたはずの跡がスカーフで隠されている。 俺の言葉にすみれは周りをキョロキョロと確認した後、俺の腕を掴んでフロアの隅に引っ張る。 「ちょっと会社でそんなこと言わないでよ」 「そんなことって?俺がお前の首にキスマークを付けたってこと?」 「ちょっとあんた正気なの!?」 すみれが怒ったような表情になる。 もっと怒ればいいんだと心の中で呟く。 「事実だろ。なんでいちいち隠すんだよ」 「ほんと、あんたイカレたの?隠すに決まってるでしょ。これはルール違反よ」 「ルールって何だよ。キスマークつけちゃいけないなんて決まりはないだろ」 「朝から絡んできて感じ悪いね。何が気に入らないのよ」 「何もかも気に入らないんだよ。お前のその態度もな」 思わず本音が漏れてしまい焦る。 「はぁ?マジうざいんだけど。何をイライラしてんのか知らないけど、私に当たるのやめてくれる」 そう言い残してすみれは行ってしまった。
/282ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3835人が本棚に入れています
本棚に追加