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俺と彼女の関係
「ご契約頂き大変ありがとうございます。原案は来週提出させて頂きます。
営業担当は引き続き私、飯島が対応させて頂きます」
「飯島さん、佐原さん。今日はありがとうございました。今後に期待しておりますので」
今すぐにでも大喜びしたい気持ちをぐっと抑えて客に頭を下げて部屋を出る。
爆発しそうな喜びをぐっと堪えながら、隣に歩いている長身の女をちらっと見る。
俺とは正反対に涼し気な顔をして、さらさとした長い髪を靡かせて颯爽と歩いている。
時折見える白い首筋から目が離せない。
「お疲れ。やっぱり佐原の企画は成功率高いわ。ありがとう」
客先の会社から出た途端、さっきの凛とした感じが一気に抜けていつものすみれに戻る。
嬉しかったのを堪えていたようだ。
「俺が企画したから当たり前の結果だけど。まぁ、すみれのプレゼンもよかったからだけどな」
俺の言葉にすみれの顔が嬉しそうに緩む。
この表情を見れるのは俺だけだろう。
すみれを悦ばせられるのは仕事でもプライベートでも俺だけだろうな。
呑気なことを考えていると、すみれの声が耳に入ってきて我に返る。
「ねぇ、このまま会社帰る?」
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