認めたくない事実

10/17
前へ
/282ページ
次へ
ミーティングが終わって、メンバーがそれぞれの席に戻っていく。 スマホを見るとすみれからの返事がきていた。 『どういうこと?』 素っ気ない言葉だったが、俺を必要としてくれているような気もして嬉しくなる。 『お昼に食堂で』 『了解』 色気も何もないやり取りだが、一緒にお昼を食べる約束を取り付けたことで俺の気分が更に改善される。 早くお昼にならないかと思いながら、部長に渡されてた企画書に目を通す。 お昼を告げるチャイムと共に席を立ち食堂に向かう。 当然のごとく、すみれの姿はまだないので目についたメニューを適当に注文して席に着く。 入口を気にしながらも、待ち焦がれていたと思われたくなくてスマホを手にするも何を見ても内容が入ってこない。 ちらちらと入口の方を気にしていたら、すみれの姿が目に入る。 俺から声を掛けるのは癪だったので気付いてないふりをして、スマホを見るふりをする。 「お疲れ。どういうことなの?」 ランチを手にしたすみれがやってくる。 今朝は俺にウザイと言い捨てたくせに、それは無かったかのようにいきなり本題を切り込んでくる。
/282ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3835人が本棚に入れています
本棚に追加