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何気無しにすみれは俺に聞いてくるが、このシチュエーションは俺とすみれが最初に寝た日の記憶が蘇ってくる。
「お前飲みたい気分?」
すみれが肯定すれば、飲んだ後はいつものホテルかなと期待する。
「そうだね。これだけ気分がいいときはぱーっといきたいね。焼肉?」
色気もない店選びに若干がっかりしている自分がいる。
「お前もっとイタリアンとかフレンチとか言えないのかよ」
悔しくなって本音が漏れる。
「なんで佐原と二人っきりでそんな店に行かなきゃいけないのよ。可愛い彼女と行けばいいでしょ」
時々すみれはこういう発言をしてくる。
ホテルで俺に組み敷かれているときは俺のことを好きなんじゃないかと思う程、悦ぶくせに、行為以外の時は全くその気がないような素振りをしてくるから、混乱する。
しかも、すみれと寝るようになってからは他の女と寝る気がしなくて、1年以上すみれ以外の女は抱いていない。
「はいはい、ご希望通りの焼肉に行きましょう」
彼女はいないと否定するのも悔しくて、さっきのすみれの発言をスルーする。
「飲んだくれになるといけないから会社の近くまで戻ってからでいいよね?」
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