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「はいよ。いつものところに行くってことだよな?」
「まぁ、そういうことになるね」
「お前、いつも同じで飽きないのか?やっぱりフレンチとかイタリアンとかどうだ?」
諦めの悪い俺は再びすみれに問いかける。
「もう焼肉の口になってるから、何を言われても気持ちは揺るがないから」
結局いつもの通り会社の近くの焼き肉屋に向かい、いつも通りのオーダーをしている。
この後は飲んで気分が良くなったところで、いつも通りのホテルに雪崩れ込むんだろう。
すみれと寝れるのは嬉しいが、流れ作業のようで空しくなるのは俺だけだろうか。
そんな俺の気も知らないすみれは大口で大好物のハラミを頬張っている。
「なぁ、お前んちどこなの?」
「あんたに教えるとロクなことにならないから教えない」
「頑なに教えないけど、まさか家庭があるとかじゃないよな?」
すみれはちらっと俺のことを見るも、直ぐにハラミに視線が戻る。
「何バカなこと言ってんの?同期で入社して今まで一緒に仕事してきてて分かってると思うけど、私がいつ結婚したのよ」
入社して丸6年一緒に働いているけど、結婚おろか彼氏がいた感じも無い。
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