3834人が本棚に入れています
本棚に追加
そんな俺の欲が言葉にそのまま乗ってしまった。
「薮下?誰だっけ、そいつ」
「ほんとあんた最低だね。同期ぐらい覚えておきなさいよ」
「興味の無い奴は覚えておくだけ記憶のメモリがもったいないだろ」
「またそんなことばっかり言ってるから、口が悪いって言われるんだからね。気を付けなさいよ」
すみれの小言ですら心地よいと思ってしまう俺は、最早重症だろう。
「うるせぇな。俺の評判が悪くたってお前に関係ないだろ。第一、そんな陰口言ってる奴は俺が仕事が出来る奴だから嫉妬してるだけだろ」
「そうよね、私には関係ないわよね。そもそも私もあんたに記憶されてるか怪しいぐらいだしね」
すみれは急に機嫌を悪くして、再びハラミと格闘し始める。
時々俺はすみれの地雷を踏むようで、今みたいに急に機嫌を悪くさせてしまうときがある。
何がすみれの地雷かよく分からない。
今の発言だって、そこまですみれを怒らせるようなことを言っていないのに。
「なぁ、そろそろ出ない?」
このまま帰ると言われるのだけは避けたくて、早くホテルに向かいたいという気持ちが溢れ出てくる。
「ん?もう?」
最初のコメントを投稿しよう!