プロローグ

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 それから数日後のこと。また公園でお喋りを楽しんでいた美衣子たちの元に、あの時の男子高校生がやってきたのだ。  彼は美衣子を見つけると、笑顔で駆け寄ってくる。だけど彼が近付くほどに、美衣子の心臓は驚くほど早く打ち始めた。 「良かった。今日もいてくれて」  そしてカバンからピンクの小さな包みを取り出すと、美衣子に差し出す。 「この間はありがとう。そのお礼。顔とそのふわふわな髪型くらいしかわからないから、見つけられるか心配だったけど」  包みを受け取った美衣子は、無言のまま彼の顔を見上げる。その意味を汲み取ったのか、彼はにっこり笑う。 「開けていいよ」  そう言われ包みを解く。中には可愛いキャラクターが描かれた絆創膏と、チョコチップ入りのクッキーが入っていた。美衣子は嬉しさのあまり頬が緩むのを感じた。 「この間のお礼。良かったら使って」 「あ、ありがとうございます……」  美衣子がお礼を言うと、彼はすぐに手を振って去っていってしまった。  この感情ってなんだろう……。ドキドキして苦しい……。  恋と呼ぶには未熟過ぎた気持ち。恋にはならなかったけど、私の心に刻まれた彼への憧れ。  ただその日以降、彼を見かけることはなく、美衣子はその気持ちにそっと蓋を閉めた。
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