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 高校生になり、私の生活に変化が起こる。シングルマザーとして育ててくれた母が結婚することになったのだ。  私を妊娠した時に、交際していた人に別れを告げられた。それでも母は産むことを決断し、それからは二人で生きてきた。  母が幸せになるのは嬉しい。だから結婚も賛成した。だけどいざ自分のこととなると、感情を保つのが難しくなる。  今までは私だけの母だった。でも今は新しい父と弟にもその目が向けられる。むしろ新しい家族を優先しているように感じてしまった。  そして馴染めずにいる私に気を遣う家族。だから私も無理して笑顔を作って、自然に振る舞おうとした……でも簡単にはいかなかった。  どうやっても不自然になるし、居心地の悪さから自室に篭ってしまうことも多々あった。予備校の帰りに、わざとゆっくり家に戻る日もあった。  元々高校を卒業したら、専門学校か短大に行こうと思っていた。それがいきなり大学を勧められたら、今度は勉強が辛くなった。  大学に行けること、勉強を続けられることは贅沢なこと。でもやりたいことはそれじゃない気がする。  そんな時だった。コンビニの前で座り込んでいたら、一人の女性に声をかけられたのだ。 「どうしたの? 具合でも悪いの?」  顔を上げると、優しそうな女性が立っていた。年は祖母と同じくらいだろうか。その人は私の頬に伝う涙を見て、驚いたようにポケットティッシュを差し出した。 「あら、あなたってうちのミーちゃんみたいな髪の毛ねぇ」 「ミーちゃん……?」 「うちの猫なの。かわいいのよ〜。あっ、そうだ。今ちょうど肉じゃが作ったの。良かったら食べに来ない?」  笑顔が優しい人だった。だから私もついて行ってしまったのかもしれない。
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