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この髪の毛じゃ家には帰れないし、仕方なくネットカフェでシャワーを浴びて、おばあちゃんの家に行くことにした。
いつものように玄関から中へ入ると、居間から話し声がする。静かに近寄ると、おばあちゃんと優樹さんだった。
「あの子、すごくいい子よ。ただねぇ、今手を出したら犯罪になっちゃうわね〜」
「あのね、あの子俺より七才も下だよ。手なんか出すわけないじゃない」
「あら、意外と女の子って大人なんだから。今度ちゃんと話してごらんなさいよ。優樹の方がメロメロになっちゃったりしてね〜」
近付こうとしたら、急に廊下の板からミシッという音が響いて飛び上がったが、バレてはいないようだった。
「そうだ。スーパーの焼き芋が焼きあがる時間だわ! 優樹、ちょっと留守番しててくれる?」
「えっ、いきなり⁈」
「あそこの美味しいのよ〜。たくさん買ってくるから待ってなさい!」
もしかしておばあちゃん、私の存在に気付いてた? もう私のことはバレているし、二人で話せということだろうか。
私は隣の部屋の襖を開けて中に入ると、彼の死角になる位置からそっとこたつに入り込む。
ゆっくりと振り向いた優樹さんが驚きの表情を浮かべた。
「あの……今朝はすみませんでした……! 夜もお部屋に入れていただいて……その、お、重かったですよね⁈」
「別に重くはなかったよ。それよりも、女の子があんな時間に外で寝てたら危ないから、もう絶対にしないようにね。世の中には悪いことを考える人だっているんだからさ」
「それは……!」
『あなたに会いたかったから』と言いかけて、慌てて口を閉ざした。
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