初恋の宝物

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 初めて、好きな人に贈り物をした。  贈り物といっても大層なものではない。義理チョコの一つをあげただけだ。  その年は友チョコに加え、作り過ぎたと言ってクラス全員分の義理チョコをわざわざ用意した。義理チョコといったところで、男の子一人だけにあげたら本命も同然だからだ。  本命を堂々と渡せない自分が、もどかしくて仕方なかった。  それだけで終わるのは悔しい。だから、ちょっとだけ細工した。細工といっても、彼が気付くことはまず無いだろう。  彼のチョコだけ、ハートのトッピングを一粒混ぜた。小さな一粒だから、他のトッピングの中に埋もれてしまった。さながら、クラスの中ではその他大勢でしかない彼のように。  せめてもの抵抗。何に抵抗しているのかは、上手く表せないけど。  それでも、やっぱり後悔した。  義理チョコの他に、ちゃんと本命を用意していたら、何か変わっただろうか。
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