初恋の宝物

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 初めて、受験を乗り越えた。  同じく、合格した友達と抱き合う。  だけど、私の視線は、友達の背中の向こうへ吸い込まれていた。  静かに微笑み、私たちと同じように友人と喜び合う彼から目を離せない。  念願が叶って、彼と同じ高校に入学した。  だけど今度は、同じクラスじゃなかった。  二年生になったら、文系と理系に分かれるという。私も彼も文系だから、二年生になれば同じクラスになれる可能性はある。  それでも、不安だった。  もし、私の知らないところで、知らない誰かと付き合い始めたら?  もし、家庭の事情とかで、私と彼のどっちかが転校することになったら?  もし、私のことを忘れてしまったら?  考えれば考えるほど、悪い想像が無限に広がっていく。自分の想像力が恨めしかった。  来年は同じクラスになれるかもなんて、そんな希望にすがり続ける余裕は、とても無かった。  もう、同じクラスじゃない。  今この時も、私の知らない彼がどんどん形作られているのだ。  このままでは、手を伸ばしても届かなくなってしまうかもしれない。  だから決めた。結果がどうなろうと、告白すると。
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