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「ああ。女の子って、そういうの気にする子多いよね。」
脳神経外科医の裕之が口を挟む。
ひろ先生とさくらちゃんは、シーザーサラダを小皿に取り分けてくれている。
「そりゃ、毎日何十人って患者さんを診ているけど、仕事だからなぁ。プライベートで気にしたことはないよ。あ、でも婦人科系の病気がありそうな時は、躊躇なく言うけどね。」
武士が真面目に答えると、彩花は「え!それって、変な病気とか⁉︎」
そんな興味本位丸出しの彩花に、武士は真摯に向き合う。
「いやいや、まぁそれもあるっちゃあるけど。ほら、子宮内膜症とか、PMSとかさ。女性の身体は色々あるでしょ。」
「ふぅ〜ん。そうなんですねぇ。」
自分から話を振っておいて、武士の真面目な答えに興味なさそうな顔だ。
「はい、どうぞ。」
ひろ先生とさくらちゃんは取り分けたサラダを俺たちに配ってくれているというのに。
由那ちゃんと圭介は、楽しそうに談笑している。
(お似合いなんだけどなぁ‥‥)
俺はひろ先生が取り分けてくれたシーザーサラダに箸を付けながら、ひろ先生とさくらちゃんに話し掛ける。
「保育士さんも大変でしょう?保護者も今は色々面倒な人も多いだろうし。」
「うん。そうですねぇ、中にはちょっと面倒な保護者さんもいますね。」
さくらちゃんがにこにこしながらそう言うと、隣でひろ先生も「うん、うん。」と頷いている。
「そうなんですよー!めっちゃ嫌な保護者とかもいて、すっごい疲れます!」
いや、彩花には聞いてないんだけどね。
俺にはよっぽど彩花の方が疲れるんだけどな。
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