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親父は61歳。
まだまだ現役で医者を続けられるが、「残りの人生は女と優雅に暮らしたい。」と南国に移住した。
そこで俺は急遽親父の跡を継ぐことになったわけだ。
クリニックは一昨年改築したばかりで、院内の内装には俺の意見も取り入れて貰ったので申し分ない。
クリニック開設時に裏地に建てた豪邸は、現在築29年と7ヶ月。
俺はあと数ヶ月で30歳になる。
クリニックの改築と同時に、自宅もリフォームした。
金持ちが好みそうなエレガント、というのかファンタジーというのか、よくわからないが、俺の趣味とはまるでかけ離れた内装は全て和風テイストに変え、薔薇模様のカーテンやバカでかいフラワーベース、ギラギラしたシャンデリアも処分した。
改装費用は勿論親父持ちだ。
あんな女好きで家庭を顧みないクズな父親だが、医者としてはそこそこ名医だった。
各地で講演を依頼され、出版物も多数。
まぁ、俺にとってはそんなこと、どうでもいい話だが、何不自由なく贅沢な暮らしをさせて貰ったことには感謝している。
親父は若い看護師ばかり雇っていたが、親父のクソつまらない駄洒落とギラギラした見た目に耐え兼ねて辞めていった。
今は40代の看護師2名と30代後半と50代の女性カウンセラー2名、事務受け付けは50代のパートさん2名だ。
年増の女性ばかりで俺には好都合だった。
面倒なことはごめんだ。
俺はあの「ひろ先生」という保育士の彼女しかいらない。
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