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石膏
粉に水をやったって何も生まれないよ
そう言ったって君は僕の言うことを聞かない
「たからものができるの」って
言って聞かないんだからさあ、しょうがないよね
見守る公園の遊具の中
目を閉じて空想し続ける
あの時、君が何を作りたかったのかを
石膏のように練り上げた砂場で
両手を泥で固めて何を作ろうとした?
聞こうとしても
もう君はどこにもいないけれど
今 僕が手を固めているこの泥は
あの日僕の足を掬った泥なのかい
許せないなあ
君に聞きたい
何を作りたかったのかを
君に聞きたい
その作り方を
雨が降ってきた遊具の外
子どもらは帰って音が途絶えた
残されたのはあの日の僕と君
残されたのはあの日の君と僕
もうやめようか考えるのを
君はそう言うかな
渡せずに枯れかけた花束を
そこの角に置いておくからさ
あの日のその手でいいから何か作ってよ
そこの角に置いておくからさ
そこの角に置いておくからさ
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