夜のコンビニ

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夜のコンビニ

おかえり〜と(ボクにはそう聞こえる)、 チャイム音が足元を擽った 蒸し暑い外の空気を三センチずつ身に纏って 入店したボクはまず天井を見た(ただいま) 蛾が、ぱちんぱちん、と、 店の上の方で何度もチャレンジしている ボクはそれを見ていつかのボクを思い出した 何度も失敗したって 何度も体当たりしたっけ、なあ とうに冷えた身体は、もう外の熱気を纏わない 今度は三センチずつ侵食してくるコンビニの冷気 冷えた腹がどうにも痛くて 肌を摩って陳列棚から離れた 離れてください離れてください 今朝の満員電車でそう叫ぶ駅員も今は 冷えたコンビニで腹を痛めて 通路の真ん中で天を仰ぐのか 無音 大勢 そして静寂。 それぞれがそれぞれの所有物だと思っているこのコンビニは 今日はちょっと冷えすぎちゃいないかい
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