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地下鉄
人の下を走る長い列車
どこで息継ぎをしているだろう
座っている僕だって苦しいのに
走るきみはどれだけ苦しいのか
想像してもしきれない ごめん
いつも暗いところにいるだろう、きみ
怖くはないのかい
寒くは、暑くは、ないのかい
みんなそっぽを向いているからさ
きみのことなど気にもせずに
居眠りしたり
手元を見たり
しているじゃあないか
それでもきみは走るんだね
僕はさ、そんなきみの中で詩を紡ぐんだ
きみの体内でことばを編んで詩をつくる
そう、きみそっちのけでね ごめん
けど少し、少しだけだよ
きみの中があたたかくなるような気がして
嬉しい
誰も見ていない空間でひとり
きみの体内でひとり
詩を紡がせてくれてありがとう
今生まれたこの詩は
きみに捧げようかな
終点だ。
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