5人が本棚に入れています
本棚に追加
癇癪
全身が赤信号を無視して渡る横断歩道
止まれ止まれと思いながらも
進む足は一歩を大きく踏み出して
もう止まらない
震える手が怖くて目線を外した
溢れる涙が情けなくて目を閉じた
愛してほしくて街を走った
ネオンなんてないただの街並みに光るは
自動販売機の小さな灯り
灯せ灯せ三丁目の曲がり角
誰がボクを愛してくれるというのだろう、なあ
コンビニの前に煙らせた紫煙を身に纏う人がいた
その人は誰から愛されて誰を愛して
何に満足しているだろう
眩しすぎるコンビニの灯りの影の中で
幸せそうにしゃがみこむその人は
ニッと笑ってボクを見送った
嗚呼、夜がボクを肯定して止まらない
愛されていないと感じるのは夜を知らないから
灯り、灯る、灯りの夜を僕が愛せば
それは反射して返ってくるんだろう
今、飲み込まれたと思った瞬間
愛せ
最初のコメントを投稿しよう!