癇癪

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癇癪

全身が赤信号を無視して渡る横断歩道 止まれ止まれと思いながらも 進む足は一歩を大きく踏み出して もう止まらない 震える手が怖くて目線を外した 溢れる涙が情けなくて目を閉じた 愛してほしくて街を走った ネオンなんてないただの街並みに光るは 自動販売機の小さな灯り 灯せ灯せ三丁目の曲がり角 誰がボクを愛してくれるというのだろう、なあ コンビニの前に煙らせた紫煙を身に纏う人がいた その人は誰から愛されて誰を愛して 何に満足しているだろう 眩しすぎるコンビニの灯りの影の中で 幸せそうにしゃがみこむその人は ニッと笑ってボクを見送った 嗚呼、夜がボクを肯定して止まらない 愛されていないと感じるのは夜を知らないから 灯り、灯る、灯りの夜を僕が愛せば それは反射して返ってくるんだろう 今、飲み込まれたと思った瞬間 愛せ
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