不安

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不安

ふと目が覚めた夜の風 身体の内側を撫ぜる風 君が抱えるにはそれはきっと大きすぎるね 光る星々に紛れた神様は言う こんな暗闇でよく私を見つけたね、って ぐしゃぐしゃな顔で空を見上げれば 吹く、風 それは肯定でも否定でもないただの風で この世界に君が在るということの責任を 取らなくちゃなって思ったんだ、と 神様は言う それがこの夜風なのだと それならばと少しだけ温い涙を零しながら ベランダで煙らせるタバコ 眠る町、起きている人 眠る町、眠っている人 気まぐれに吹く風が全てをかっさらって 無かったことにはならなくても フラットにしてくれる いつのまにか聞こえなくなった神様の声 すっと星に帰った風 眠れない夜をもう少しだけ愛らしく過ごそうか
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