ノイズとしての冬

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ノイズとしての冬

あっ、あーいま音が消えたかも 小さな頃に観たVHS、みたいに音が飛んで視界が止まる 動かない気がする薄灰の景色 悴んだ手だって少しも動かない 止まってんな 止まってんな 夕飯の支度、揺らぐ湯気、白いままにきっと 降ってた雪もそこにいる ふふふ、寒いのは変わらないんだ ぱっ 動いた動いた ぱっ、ぱっ、ぱっ 降る雪、手にはネギ、ビニール袋のカシャカシャの音 再生されたVHS ざらついた町があの日の歪んだテレビみたいで おひるねでおきたときにおかあさんがみてた すこしむずかしいてれびみたいだ、 って思ったよ
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