国境

1/1
前へ
/149ページ
次へ

国境

夜蹲る、薄く冷えた布団の中 輪郭はぼやけて溶けた地球儀 少し傾いたままゆっくり、回る、眩暈 私の身体と身体が戦争をする 心と心も戦って 疲弊 丸くなったまま回る地球儀 大気圏は息が苦しい ひとつ、作った国境は 赤茶に腫れて国になる ふたつ、爪には皮膚が あちら こちら 区分けるように引っ掻いて 私を分けて小さくしてしまおう 息もできない大気圏の、少し外 身体を手放して意識は一番星 今日もアプリで見つけた星を探してるかな 見つけてくれるだろうか私のことまで 増える傷は 増える国たち 私を分ければ、意識は小さく、遠くなる 考えずに済むと思ったんだけれど 消えてしまえると思ったんだけれど 「すいませーん」 無礼なノックが意識を番地に連れ戻す 私が引いた国境だらけのひりつく身体は 蔑ろにされた呼吸を再び始めたその喉は 情けないほどによろめいたままドアを開けた 「はい」 眩しいな、布団の中は宇宙だったはずだろうが
/149ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加