嘘吐き

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嘘吐き

君は死ぬ前笑ってた 夜の公園に逃げた日だって 笑ったままで 手を伸ばす僕を大丈夫って突き放してさ 夢を語る虚ろな目とか 汚い六畳の君の部屋 冷蔵庫のモーター音 腐ったコンビニ弁当 落ちる汗 黄ばんだ布団 濁ったシンク 丸めた背中で 「大丈夫」、って 嘘を吐くのが下手なこと、 それを僕だけの宝物にしたから君はいなくなった 全てが反転してた君 欲しい物 嫌なこと 将来の夢 僕が現像してあげられてたら その反転を戻せていたのなら 僕は君を殺さないまま救えただろうか
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