ゴム

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ゴム

脳味噌が次第にゴムへと変わる 思考は止まり、弾力だけが強くなる 筆は折れ、諸行無常を言い訳に変わりゆく 右端から変色して跳ねるゴム 頭痛 閉じゆく思考の中、見えた海膨 シーラカンス 嗚呼、いまそれが書けたなら どれだけいいだろうか 真ん中を侵食するゴム 酷く鳴る耳鳴り 開かれゆく瞳孔、見えなくなった境界線 海鳥 嗚呼、いまそれが描けたなら どれだけいいだろうか そして終わりを食うゴム 爆ぜる閃光、揺れる脳味噌 閉ざされゆく命、見えたものは何 天使 嗚呼、いまそれが作れたなら どれだけいいだろうか ゴムとなったわたくしの頭の中はただ跳ねる跳ねる 四方にぶつかり、脆く崩れ、それでも跳ねる いつか元に戻った時にそれらの欠片で何をしようか いつか元に戻った時にそれらの欠片で何を直そうか ゴムがゴムであり続ける限り、わたくしは考えられない 跳ね廻り続ける限り、わたくしの頭はただ重く肩に乗るだけ いつか良くなるだろうか 熱された夜、溶けたゴムの先に夢を見た 再び筆を持って描く夢だった その時、跳ねたのは 心
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