甲斐性

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甲斐性

死にたさが持つべきは甲斐性か 甘さ 君はどう思う? ふっ、と。 死にたくなった そんな時に頼れるものが「死にたさ」ならば 多少は居心地もいいだろうさ そんな時に頼れるものが「甘さ」なら 多少は逃げ道だってあるだろう 君はどう思う? 死にたい時の居所の無さが、さらに僕を死にたくさせる 死にたい時の手足の浮遊感が、さらに僕を眠れなくさせる 死にたい時の逃げ場所は、実の所そんなに欲しくない なぜなら逃げたところでまた死にたくなるから 無意味 そんなとき 頼れる物が「死」そのものならさ 甲斐性を死に求めるとして それは悪いことだろうか? 死の持つ強さに寄りかかる、それはそんなに悪いことだろうか? 僕は死の怖さをさほど知らない 僕が知るのは 死の強さ逞しさ―甲斐性―だった いいだろうか 今日もそんな死の甲斐性に頼ってしまっても いいだろうか 「甘さ」よりも「甲斐性」を選んでみても いいだろうか
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