ひかり

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ひかり

やさしく吹くひかりが あたりを照らした 目を覆うような眩さの中で ひかりはひかりとして 生を受けた けっして、影にはなりません けっして、影にはなりません そう言葉を覚え 旅に出た やさしく吹くひかりが 道に迷う 暗く寂れた森の中 ひとつのひかりだけが 彷徨い続けた けっして、わたしは泣きません けっして、わたしは泣きません そう言葉を唱え 道をゆく ある日、ひとりの男の背骨から ひかりが 出た 男は言う(笑って言う) 「天使になれたんだ」 彷徨い続けたひかりは男の羽になった 男は目を閉じた時のひかりのあたたかさを今も信じてる
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