5人が本棚に入れています
本棚に追加
蛆
終わらない徒歩の道
夏日に歩く舗装のされていない寂しげな道
茹だる暑さに脳が揺れた
僕は今、ひとつのことを
いや、ふたつのことを
いいや。もっと多くのことを考えている
次から次へと流れ込むそれらは
気化してさらに辺りを暑くさせた
解決しないばかりか
増えていくそれは
まるで夏に涌く蛆のようで
ぴちぴちと増えては共食いしてゆく
決して、消えない
僕が今死んでいたのなら
蛆だらけになって苦しかっただろうか
それとも
楽に死ねていたら
悩みの比喩であるそんな蛆も
怖くは無かっただろうか
茹だる、脳
動かなくなってきた足を止めた
持っていた水を飲んで息を止める
嗚呼、今ここで死ねてしまえば
楽になると思うのだけど
道はまだ続く
歩くしかない
蛆はまだ、涌いている
最初のコメントを投稿しよう!