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終わらない徒歩の道 夏日に歩く舗装のされていない寂しげな道 茹だる暑さに脳が揺れた 僕は今、ひとつのことを いや、ふたつのことを いいや。もっと多くのことを考えている 次から次へと流れ込むそれらは 気化してさらに辺りを暑くさせた 解決しないばかりか 増えていくそれは まるで夏に涌く蛆のようで ぴちぴちと増えては共食いしてゆく 決して、消えない 僕が今死んでいたのなら 蛆だらけになって苦しかっただろうか それとも 楽に死ねていたら 悩みの比喩であるそんな蛆も 怖くは無かっただろうか 茹だる、脳 動かなくなってきた足を止めた 持っていた水を飲んで息を止める 嗚呼、今ここで死ねてしまえば 楽になると思うのだけど 道はまだ続く 歩くしかない 蛆はまだ、涌いている
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