しっぽの救いはあてにならない?

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 落ちる。  あたしは空中で、必死に腕を伸ばしていた。  周囲はあまりにも真っ暗で、どこにいるのかさえ分からない。  なにかに掴まろうと必死で、下を見る余裕さえない。  ただ本能的に、ここを落ちたら二度と戻ってこられないと感じる。  やがて、ずっと空振りを続けていた手のひらに、とうとうなにかの感触を感じた。  そりゃもう、それがなにかなんて考える余裕ない。ただがむしゃらに両手で掴んだ。 「ギャッ」  上から音が降って来た。  どこかで聞いたことのある、声。そして手のなかの、もふもふの感触。
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