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 二歳になったばかりの姪が泣き出すまで、一呼吸。  顔を上げ、相手を見る姪の目に、濁りを見た。  まっさらな魂で生まれてきた幼子が穢された瞬間――。    その感情の名前も知らぬはずの姪の目に灯ったのは、きっと人が生まれて初めて自覚する〈憎悪〉なのだと思った。
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