6 記憶のかけら

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「鷹野から見ると、雪斗も俺も不都合で邪魔な存在だったんじゃないか。亜子に対する、独占欲とかそういう類の、異常な執着心、なのかもしれない。そのためなら、手段をいとわない」 「執着心?」 「とにかく、羽根井ってやつも、単独で亜子や俺に近づいてきたとは思えない。秋吉のこともだ。裏には鷹野がいると思う」  ――大きい目標とかゴールを決めるじゃない。で、それを実現するために色々準備したり、仕込んだり、チームメンバーを決めたりするのね。でも、仕事って、そういう丹念な準備だけじゃなくて、ラッキーや偶然が重なって思ったよりスムーズに行ったり、予想以上に成功したりすることがあるの。  ――今は予想外にそういうラッキーがあってさ、滑り出しかなり上々って感じかな。あと、思ったより、チームメンバーが動いてくれて、助かってる。  あれって、そういうことだったの……?  執着、という言葉に私は震える。  同時にスマホを握りしめながら途方に暮れる。  渚には、ずっと連絡が繋がらない。渚はどこに行ったのだろうか。
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