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はじめてのお使い
ここは東京某所にある新興住宅地。
自宅を利用して隠れ家的リラクゼーション店を営む間地代さんのところには、3歳になる女の子、いすなちゃんがいます。
いすなちゃん、お母さんの言うことをよく聞いて、お手伝いもしてくれるいい子なんですが、心配症のお母さん、まだいすなちゃんに自分一人だけで何かさせたということがありません。
そこでお母さん、いすなちゃんをはじめて一人でおつかいに行かせることにしました。
「──いすなちゃん、商店街の金河岸さんのとこわかる? 電車乗って行くんだよ?」
「うん! しってるーっ!」
「いすなちゃん一人だけで行くんだよ? ほんとにひとりだけで行ける?」
「はーい! いけまーす!」
お母さんの言葉に、いすなちゃん、手を挙げて元気よく答えます。でも、ほんとにわかってるのかなあ?
「じゃあ、いすなちゃん。気をつけて行ってくるのよ? 自動車に気をつけてね? 道わからなくなったら誰かに聞きなさいね?」
「はーい! いってきまーす!」
いすなちゃん、お気に入りの白いリュックサックを背負って水筒を肩から下げると、お母さんに見送られながら家を出発します。
「あ〜る〜こ〜♪ あ〜る〜こ〜♪ あたちは〜……あ〜る〜こ〜…」
おやおや、歌詞を忘れちゃったのかな? 楽しそうにお歌をういながら、いすなちゃんは足取りも軽く進んで行きます。
「あ! 人がいっぱーい!」
閑静な住宅街を抜け、いすなちゃん、最寄りの駅前へと到着しました。
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