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エピソード2
が、、、1週間たっても、王子様の恋は上手くいかなかった。
「じいや、これはどういうことだ?」
「どう、、と言われますと?」
自分の部屋に戻った王子様は、イライラした口調で爺やに言う。
「全く心が満たされない、、恋をしても幸せになれないじゃないか。」
「坊ちゃん、お言葉ですが、まだ坊ちゃんは恋をされていないように思います。」
「なに?お見合いをすれば恋ができるのではないのか?」
「それは違います、あくまでお見合いはきっかけで、お相手への好意があって初めて恋と呼べるものになるのです。」
「ほう、、しかし、好意を持とうと、僕は話をしたじゃないか?」
「坊ちゃん、、あるお嬢様に対しては、30分もせずに部屋を飛び出す、またあるお嬢様に対しては、ズケズケと悪口を言う、さらに隣国のお姫様に対しては適当な相槌を2時間ひたすらうち続ける。好意を持とうとした方とは思えない行動でございます。」
「仕方ないだろう、相手が悪いのだ。自慢話を延々と語るやつもいれば、自分の家のようにわがままを言うやつ、挙句の果てには、『お父様はいらっしゃらないのかしら?』と僕の家に媚びようとするやつだ。誰一人として好意を持てる奴はいなかった。」
「それでもです、悪いところにばかり目を向け、良いところに目を向けようとしない坊ちゃんにも非はあるかと…」
「うるさい。とにかくお見合いでは恋はできん、他の手を考えておけ。」
そういうと、王子様は、自分の部屋から飛び出していった。と、その背後で爺やの叫ぶ声が聞こえる。
「坊ちゃーん、街に行くなら庶民の変装を忘れてはなりませんぞー。」
(何も言ってないのに、おせっかいな奴だ。)
そう思いつつも、王子様はモヤモヤした気持ちを晴らすには、散歩しかないと思い、人さらい防止のための庶民の格好をし、王宮の扉を開けた。
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