巨人の庭

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「それで、何か弁明はあるかしら?」 「…………………」 腕を組み、仁王立ちをしたルナが眼前に四人横並びになって正座をするパーティーメンバー達を睥睨しながら問い掛ける。 いつもの包み込むような柔らかい雰囲気はどこへやら、戦闘中もかくやと言わんばかりの圧をかけられている四名は仮想の汗を滝のように流しながらーー約一名ほど涼しい顔をしてはいるがーー、嵐が過ぎ去るのを待つように縮こまっていた。 ーーーなるほど、こんな感じなのかーーー 離れた場所で椅子に腰掛けながら見るそんな光景に、普段の攻略で無茶をした時の俺の姿を重ねながら湯気を立てるコーヒーを啜る。 現在時刻は二十時、あの後俺の両親と美月とで昼食を共にして、片付けるなりすぐに飛び出していった両親を二人で見送ってから夕方まで家で二人で過ごし、美月を彼女の家まで送り届けてから家事や夕食その他もろもろを済ませてからアナザーワールドにログインをした。 どうやら四人はあらかじめ美月から呼び出しと説教の宣告を受けていたようで、万屋でルナと共に皆のログインを待っていると、ログインしてくるなりルナの前に正座で並び、今に至る。 「えっと、そのぉ……」 「リリアに唆されたんです、すみませんでした!」 ルナからの圧を初めて受けるセブンがだんだんと泣きそうになってきたので、さすがにちょっと間に入ってやろうかと腰を上げかけた瞬間、セブンの隣のシャインが彼女の頭を掴んで無理矢理下げさせた。 気持ちのいいくらいリリアさんに全てを擦りつけて謝罪一抜けを図るシャインに、流石のルナも面食らったのかぱちくりと目を(しばた)かせ、「う、うん」と押され気味である。 シャインだけならおそらくこうはいかなかっただろうが、ルナ自身も可愛がっている末っ子的立ち位置のセブンを巻き込んでいる辺りが実に上手く、セブンと二人で潔く謝る構図を作ることによってルナ目線これ以上叱りづらくするという立ち回りは流石に踏んできたであろう場数を感じさせる。 「………本当に、無茶はやめてね。みんなの実力は知ってるし、今回は上手くいったかもしれないけど、天庭攻略なんていつどうなるかわからないんだから。 気を遣ってくれた気持ちは嬉しいけど、それ以上に心配かけさせたのは反省してね」 「はい……」 「ごめんねルナ。次はちゃんと相談するわ」 実際シャインの立ち回りによって随分毒気が抜かれたらしく、ルナは一度深く息を吐くとセブンの頭を撫でながら幾分柔らかい声音で言い聞かせる。 最後に一度謝罪を重ねたことにより見事セブンと共に正座からの開放を命じられたシャインと目が合うと、ルナの死角となっているところでグッとサムズアップを向けてきた。 反省してるんだかしていないんだか微妙な様子だが、せっかく許しを得たところまた叩き落とすのもなんなのでルナを刺激しない程度に肩をすくめてそれに応え、二人に出すコーヒーの準備に取り掛かった。 「あの、アタシ達は?」 「諦めましょうマリアさん。主犯と止めなかった年長者、仲良く連帯責任で怒られましょう」 「えぇ……アタシ別に攻略でも目立ったことしてないのに……」
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