卒業と卒業

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「いてくれるだけで強くなれる! それにね」  彼女は黙って僕の目を覗き込んだ。僕はいたたまれずに「それで?」と聞き返していた。  すると彼女は全力と思える笑顔を見せて「青春したい!」と言った。 「敵わないなー。んじゃやりますか!」  僕は心から彼女の友達でいたいと思った。でもその気持ちを隠して、おどけてみせた。彼女が笑って、僕も笑った。 「ありがとう友理奈。あ、私戻らないと。また連絡するね」  人差し指で目の下を拭いながら、彼女は胸元で小さく手を振って廊下を戻っていった。その背中に僕は呼びかけた。 「真弓!」  急に名前を呼ばれた彼女は、跳ね返るように振り向いた。 「一緒にやりたい事のリスト作っておいてね!」  僕の言葉に大きく頷いた真弓は、跳びはねながら両手を振った。その姿に僕は、今後の真弓の活躍を願がった。そして叶うなら真弓が大舞台に立つようになっても気兼ね無い友達のままでいたいと心の底から思った。 〈僕と彼女の卒業にまつわる青春じゃない青春の話〉
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