友達のなくし方

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     普通に笑えたのは転校してきてから最初の何日間だったと思う。早く馴染めるように自分なりに笑顔で頑張ってた。けど、どんなに頑張っても無理なことには限界があって、それはすぐにやってきた。    初日は、『都会から来た子』という珍しさや興味もあってか、クラスの女子は瞳を輝かせて代わる代わる色んな質問を投げかけてきた。もちろん真衣だって最初はそうだった。 「村上さん、原宿って行ったことある?」  ――あ、私はもう『青野』じゃなくて『村上』に変わったんだっけ。 「えっと、あるよ」 「渋谷は?」 「一応……」 「芸能人とか見たことある?」 「たまたま芸人がロケしてるとこ見たことはあるけど、そんなに見ないよ」  みんなからの質問は『村上七海(むらかみななみ)』という私を知りたいわけではなくて、私という人間を通して東京という街を知りたかっただけなのだろう。      
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