力のルーツ

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ー 地球 ー 現在。 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!! 俺はひたすらに四方八方から中央にいるはずのバラムに向かって連射をした。 「うおおおおおおおおおっ!!」 連射の衝撃で身体は震え、その負荷は想像以上のようで、立っているのさえツラくなってきた。 ドドーンッ!!巨大な爆発で空気が振動し、俺は爆風により後ろに飛ばされた。俺の打った爆裂弾とバラムの爆発が相殺され、上空で大爆発をしたのだ。 プットの作戦だった。 プットは、バラムの行動を察知していた。 ー ヴェール星 ー 三分前。 「さっきとは目が変わったではないか。星野殿、お主の力は、久利殿や花畑殿たちの力とは違う。本来はもっと可能性を秘めた力なのじゃ。」 「…可能性?」 「お主の力は、久利殿たちと違って武器そのものは現れない。お主の生命そのものが武器なのじゃ。故に力も大きい。…っ!?」 プットは何かを感じたのか背後に振り返った。 「…どうしたんですか?」 「バラムの奴、まさかアースごと破壊するつもりか。」 「なんですって!?…でも、そんなことしたら奴らが狙うアンジュだって死んじゃうんじゃ。」 「バラムはエコーに忠実な奴じゃ。アンジュの身を守る術は何か手を考えてるはずだ。…とにかくアースの破壊を止めるぞ。…お主に懸けるしかないがな。」 俺はプットの話す作戦に耳を傾けた。 ー 地球 ー 現在。 飛ばされた場所から爆発の様子が見えた。プットの作戦通り、バラムの爆発は地上までは届かずに空中で留まっていた。ただ、地上では大騒ぎになっていることは間違いないだろうと思った。 プットは言った。俺の力はバラムの爆発を勝ると。ただ、俺は力を出すコツを学べていないのだと。必死になるだけでは駄目だと。 今はどうだろうか。いきなり爆発をした瞬間に飛ばされた俺は保身のためにも、とにかくプットに教わった爆裂弾を連射するしかなかった。 なんだかんだ必死だった。 まだコツというものは正直わからない。 あの星に一週間はいた感覚だった。身体が限界を超えるほどプットから戦い方を学んだ、というかこっちからしたら弱い者いじめのようなもんだったが。 プットは言った。プットたちの星と地球の時間の進みは全く違うと。だから、地球ではまだあれから数十分しか経っていないようだった。 「作戦通りじゃったな。」 背後から声がして振り向くと、久利を抱えたプットがいた。 「久利さん!」 久利は死んでいたと思っていた俺は、生きている姿を見て安堵した。 「気を失っているだけじゃ。久利殿もまだ力を付けないといかんな。…尼崎殿も力の暴走が見て取れる。」 「…虎紋。虎紋は!?」 「安心しろ。」 下から声がして見下ろすと、虎紋も抱えたフォラスが姿を現した。 「忍者の彼が落下した時、俺を拘束する力が弱まったんだ。何とか地面スレスレで捕まえられた。…ただ、何人かの人間にその瞬間を見られたがな。」 「…徐々にガーディアンの存在、そして今アース…この日本で起こっていることが露呈し始めたか。」 プットはボソリと呟いた。 その時だった。俺たちから数十メートル上の空、ビリビリという帯電しているような効果音とともに、空に亀裂が走っているのが見えた。 「…プットさん、あれ。」 プットは当然俺が指摘する前から気が付いていた。 「…エコーだ。」 フォラスが呟いた。 美人野郎が殺された時に見たあの亀裂だった。あれは、エコーのいるノワールという惑星に通じてる亀裂なのか。亀裂からは、黒い稲妻のようなものが漏れ出していた。 全身に悪寒が走った。 その瞬間、亀裂が一気に広がり、巨大な手が現れ、俺たちに向かって伸びてきた。 「うわあああああ!」 「くそっ!」 プットは、久利を乱暴に俺に渡すと、薙刀でその巨大な拳を俺の目の前で受け止めた。 「プットさん!!」 「星野殿、フォラス、逃げるのじゃ!吾輩にもどこまで押さえられるかわからん!」 「ガンマン!エコーには敵わない、今は引くぞ!」 フォラスは俺の手を引いた。 「で、でも…。」 明らかにプットは押し負けていた。このままではプットが殺られるのも時間の問題だとわかった。 「あの老人はアンジュに一番近い存在だ。そう簡単に殺されはしない。」 次の瞬間、プットは巨大な手に捉えられ、亀裂の中に連れていかれた。あまりに一瞬の出来事だった。 「プットさん…プットさーん!!」 「ガンマン、今は一旦引いて身を隠す必要がある。地上の人間たちが俺たちの存在を再び見つけたら厄介なことになるぞ。」 俺はフォラスの言葉に納得し、雲の上を通って人目につかない場所に降り立った。 「…あんなのとどう戦えばいいんだ。」 「ガンマン、あんたたちガーディアンはエコーを倒すのが目的じゃないだろ。アンジュを守ることがあんたらの存在意義だ。戦いばかりに集中してると大事なものを見落とすぞ。」 フォラスの言葉に俺はキョトンとした表情を浮かべてしまった。 「…あんた、結構いい事言うんだな。」 「ふん、やかましいわ。とりあえずアンジュの無事を確認したほうがいいんじゃないか。」 「あぁ、そうしよう。」 俺はすっかりフォラスに対して信頼感を持っていた。何だかんだ虎紋も助けてくれているし、言うことも納得できることばかりだ。 「…どうした。俺の顔に何か付いてるのか?」 フォラスはじっと見ている俺に顔をしかめた。 「いや、何でもない。虎紋を守ってくれてありがとう。」 俺たちはアンジュの家を目指した。 ー 惑星ノワール ー プットは目を覚ますと、手足を鎖で拘束された状態で冷たい檻の中に入れられていた。 「…やはりすぐに吾輩を殺すことはしなかったか。」 「お目覚めか?」 檻の外から声がするが姿は見えない。 「その声はエコーか。」 「プット、久しぶりだな。」 「…裏切り者めが。」 「アンジュに近付く方法を教えろ。私の能力でもアンジュの居場所だけは結界が張られており感知できんのだ。お前ならその突破法を知っているだろう。」 「…誰がお前なんぞに。」 「ふん。ならお前の身体に聞くまでだな。その老いぼれでどこまで耐えられるかの。フォルネウス、後は頼んだぞ。」 エコーの気配が消えた。ネチャネチャと引き摺るような足音とともに現れたのは、半魚人にイカのような触手を持ったフォルネウスだ。 「…バラムの馬鹿は死んだようだな。あいつはそんなに強くないからな。捨て駒だ。」 「…随分と仲間の死に対して冷たいの。」 「ふん、優しい爺さんだな。…すぐに死なないように手加減しないとな。」 フォルネウスはニヤリと笑った。
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