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窓を打つ雨が激しい音を立てる。
夕方だというのに、外は暗くなってきた。
その雨の音に負けないくらいの鼓動が、俺の耳元で鳴っている。
どっちの鼓動?俺か?竜樹か?
お互いしっかり掴んだその腕を離すタイミングを失ったまま、しばらく時が過ぎた。
かぷっ。
急に竜樹が俺の耳を甘噛みした。
「ひゃあ!」
びっくりして両手を離した俺を、竜樹はすかさず自分の方に正面を向け、俺の背中を窓に押し付け、キスをした。いつもの軽いキスではなく、唇を貪るかのような熱いキス。
抵抗しようとした両手を竜樹は制し、今度はついエラ呼吸をしたくなるほど濃厚なキスの嵐を降らせた。俺も、それに応えた。
「もう、自制は効かないから…」辛そうに竜樹は呟き、俺を抱き抱えた。
そのままベッドルームへ入り、俺をベッドの上へ降ろす。
こうなることを望んでいたのは、どっちの俺だろう。
男の俺?女の身体の俺?
竜樹が優しく俺の身体を愛してくれる。
女である身体がそれを受け入れる。
竜樹と一つになれたことに、男の俺が喜ぶ。
気がつけば、雨の音が止み、外は本当に真っ暗になっていた。
いつの間にか眠ってしまっていたようだ。
竜樹は俺の横でうつ伏せになり、寝息を立てていた。
時計を見ると、午後11時。
やばい、エレナ怒っているだろうな…。
俺はベッドからそっと抜け出し、服を手に持ってビーチに走った。
あれ、足が全く痛くない。キスしまくったからか?
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