朝焼け

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 前世ではひとり孤独に死んでいった俺だけど、好きな奴の腕の中で死ねるって…めちゃめちゃ贅沢だな。 「テトラ?おい、テトラ!」  竜樹の声が聞こえる。  竜樹が俺の意識が薄れ、泡化していることに気がついたのかもしれない。 「テトラ!待て、行くな!テトラ、俺だって本当は別れたくないんだ!人魚でも、男でもどうだっていい!…お前を、テトラを愛しているんだ!」  本当?初めて聞いたな、それ。  竜樹は今にも形が崩れてしまいそうな俺に、キスをした。  竜樹が泣いてる?キスと共に、俺の口に竜樹の涙がつたってきた。 『俺も、竜樹を愛してる』  それは声にならなかったけど、最後の力を振り絞って、俺からもキスをした。  その瞬間、俺は竜樹の腕の中から打ち寄せた波によって全て攫われてしまった。  俺が着ていた服だけ、打ち寄せた波で竜樹のそばに戻っていった。
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