9.十六年目もずっと

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 見つけた時、夫がこれからも私に触れようとしてくれていることが嬉しかった。  同時に、子供たちの目に触れないように気をつけなければとも思った。 「そうね」  もし、本当に子供を望まないのであれば、私もピルを飲むとか、避妊の確率を上げる方法はあるだろう。  けれど、夫が望んでいるのはそうじゃない。 「避妊していてもデキたら、産む」  だって、愛する人の子供だもの。  愛し合う、と言えば美しいけれど、その結果に望まない妊娠もある。それでも愛し合うのをやめられないのは、人間としての性だろうか。  発情期とか、子孫を残す本能とか、そんな動物的ではないセックスをするのは、きっと人間だけだと思う。  妊娠、出産を選択できるのも、きっと人間だけ。  だから私は選ぶと思う。  夫と愛し合うことで宿る命は、夫に愛された証。  望む答えを得られたからか、夫は少し照れ臭そうに唇を噛んだ。  ワイシャツを脱ぎ、Vネックのリブニットを頭から被る夫を横目に、私はこうして畏まった行事にしかつけないネックレスや指輪を外してケースにしまう。 「柚葉」  着替えを終えた和輝に呼ばれ、ウォークインクローゼットを出る。  ベッドに座る彼は、足の間の布団をポンポンと叩く。 「え」と、思わず低い声が出てしまった。  足の間に座れと言いたいのなら、恥ずかしすぎる。 「柚葉」  珍しく引かない和輝に、私は諦めて近づくと、手を引かれて強制的に座らされた。  後ろからギュッと抱き締められる。  隣の部屋では、娘が友達と交換したプレゼントを開いている。  悪いことをしているわけではないが、緊張感が半端ない。  髪を切ってから風通しの良いうなじに唇が押し付けられる。
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