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「お前、カズヒラって名前なのか?随分と大層な名前なんだな」
「えっと…うん…」
和平は何が何だかさっぱり分からなかった。
さっきまで庭のテラスに居て、目の前にいるネコに愚痴っていたのだから。
それなのに…
「それにしてもお前、女みたいな見た目をしてやがるな。綺麗な体してよ」
『和平なんて名前してるくせに女みたいだよな。お前』
「違う!僕は男だ!バカにするなっ!」
華奢な体、サラサラの白い髪の毛と薄い灰色の目…そして青白くすら見える透き通るような白い肌…。
和平は…「アルビノ」と呼ばれる病気だった。
先天性の遺伝子疾患で生まれつき体の色素が薄く、日本人でありながらまるで外国人の様な容姿をしている。おまけに線の細い体が女の子を思わせるからかよくからかわれていたのだ。だから和平は自分の体が好きにはなれなかった。いや…嫌いだった。
「そんなに怒るなよ。悪かったな」
ネコは悪気があって言葉にした訳ではなさそうだ。
「僕こそごめん…急に怒鳴ったりして」
フワフワの毛に覆われた長いしっぽがしゅんと垂れ下がる。
ネコのしっぽは感情表現も出来るらしい。
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