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「まぁいい。お前、この辺じゃ見掛けねぇ顔だからよ。新入りを案内してやろうかと思ってな」
ネコは得意げにしっぽをユラユラと大きく揺らしている。
和平のしっぽとは少し違って短くて丸っこいしっぽだ。
「あ…ありがとう。ところで君の名前は?」
ネコはピンと髭を立てると顔を尖らせて話をする。
「ふふん。俺様の名前は一つじゃあ無いんだぜ?トラオ、茶太郎、にゃん太にチビ、それからボスだ」
「うわ…そんなに沢山…!」
「世話になってる人間達は好きな様に呼ぶからな。俺様はあまり気にしちゃいないのさ。ノラなんてのはそんなもんよ。お前も好きに呼びな」
(でも何だかしっくりこないや…)
「あ!そうだ!ピース!ピースって呼ぶよ」
「あぁ?ピースたぁ!?何だか間抜けくさい響きだなぁ!?」
「そんな事ないよ。ピースは英語で平和っていう意味なんだ。僕の名前と同じ意味さ」
「何だか良く分かんねぇけどまぁいい。ほら、俺に着いて来いよ」
今は夜。きっと真夜中だ。
白猫とは対照的な漆黒の夜空にピカピカと輝く大小様々な星。
空がとても遠く、広く感じた。
考えていても仕方がないと思った和平は成り行きにまかせてピースに着いて行く事にした。
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