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それからピースは和平を街中案内した。 ご飯をくれる人が住んでいる場所、危険な場所、他のネコのナワバリ。 ノラネコの世界にも存在した人間と同じ様なルールや守るべき秩序みたいなものを教えてくれた。 (動物達も僕達と何も変わらないのか…) 街は眠らない。 街灯の光、24時間営業の店、自販機に車のライト。 人間にとって快適なこの場所は、ピース達にとってはどうなのだろうか。 「ねぇピース。人間の街は住み辛いと感じない?人間が怖くはないの?」 和平の言葉にピースの足取りがピタリと止まった。 するとくるりとこちらを向いて座った。 「まぁお前も座れよ。少し休む事にしようや。俺様は生まれてこの方この街から出た事がねぇ。だから他の世界ってやつを知らないのさ。 お前よりもっとガキの頃に母親を亡くしてそれから一人きりで生きてきた。 人間様の世界は広いからな。そりゃあ大変な事も沢山ある。お前も知っているだろう?凄い速さで走る鉄の塊はぶつかりゃ死んじまうし、街が小綺麗になる度にねぐらは奪われる。 だがな、この世界に生まれ落ちた時から俺様達の運命ってのは決まってるのよ。人間様が生きる世界で、俺様達は生かされている」 ピースの表情はどこか影があって、目にはさっきまでの光が無くなっていた。 「人間様ってのは怖い生き物よ。俺様達の命なんざ簡単に奪えるし逆に与える事も出来るのさ…俺様達の命はあいつらにとっては何て事無いんだろうな…」 やっぱり動物達にとって人間達は恐怖や憎悪の対象なのだろうか。 ペットとして愛され続けない限り、人間なんて…。 「…ピースは人間が嫌い…?」 和平は答えを聞くのが少し怖かった。 嫌いと言われてしまうのが怖かった。
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